「体験学習:小さな天文学者の会」の呼びかけ

柴田 晋平

1. はじめに

「小さな天文学者:体験学習会」という構想にとりつかれ ました。一般市民対象に宇宙の観測や実験の場を準備する。 そこで宇宙についての本質的なことをだれもが理解できる ような教材を提出する。参加者は観測や考察をするうちに いつのまにか「小さな天文学者」になっている。そんな企 画が出来ないものか?

物理の分野では、長い歴史を持つ仮設実験授業や、最近テ レビなどで紹介されているたくさんの実験がすでに開発さ れています。天文学についてそのような教材の開発はほと んどなされていないのでないかと思います(わたしが知ら ないだけかもしれませんが、すくなくとも物理の分野ほど みんなの目にとまるところで紹介されていません:多分そ れはいい教材、方法がまだないからだとわたしは思ってい ます)。物理の教材研究の経験があるわたしからみて天文 の教材は作りにくいのは充分承知しています。だから、こ こは信じるしかない、ここは図で説明して終わり、とあき らめている部分がたくさんあります。しかし、実践と研究 の積み重ねが少ないのではないかと思うのです。まだ、研 究が足りない。

それで、「小さな天文学者:体験学習会」という構想にと りつかれました。参加者はみんな小さな天文学者になって 宇宙を理解する喜びを得、企画する者は実践を通してすば らしい教材・方法を開発する。


「星の世界は美しい、それをみんなで楽しもう」     


「宇宙についての本質的なことを誰にでもわかるように」  


「天文学を通して、科学する心をみんなのものに」    


こんなことが目標でしょうか。

ちょっと趣の異なる動機も働きます。天文学には、 UFOや占 い、似非(えせ)科学がまとわりつきやすいと言う事実があ ります。星の美しさや、神秘性、日常からの距離の遠さの性 でしょう。 UFOや星占い、似非(えせ)科学がまとわりつい た人々を解放したいというのも、あまりよい下心ではないか もしれませんが、動機としてあります。星の世界の美しさや その神秘性への思いをはるかに上回る感動をもって宇宙に関 する本質的な事実を誰にでもわかってもらう、そんな方法や 実験、観察を開発してみたいのです。

こんな(ちょっとあやしげな=うまくゆくかどうか怪しい) 考えに賛同する有志で、「(山形)小さな天文学者の会(仮 称)」をつくって活動・研究することを提案したいと思いま す。

書簡、fax、電子メール、会報によるコミュニケーションと2 ケ月に一回程度の例会を中心に教材開発し、年2、3回の、 一般市民を招いた「小さな天文学者体験学習会」を開催。洗 練された学習会の教材を「小さな天文学者体験レシピー」と して出版する。それを全国に広める。(最後の部分を私は重 視しています。たくさんの観望会や天文教室が開かれ教材は 開発されているはずです。それをやりっぱなしにしないで整 理し全国に広める(その中でまた洗練される)。積み重ねが 効くようにすることが重要です。

2. 最初の実践「しし座流星群の観測」

おりからしし座流星群の全国高校生同時観測という試みが実践され ています。この観測の意義の解説[1]を読んでいただくと「小さな 天文学者:体験学習」にぴったり(?)の企画であることがわかり ます。特に道具がなくてもだれにもできる。計数することで科学的 なデータになる。全国のデータとあわせることで連帯感が持てる。 学問的意義も高い。などなど。条件は整っています。(いい教材か? どうかはやってみて研究しましょう。)

しし座流星群は11月17日よるから18日明け方に出現しこの日 が火曜・水曜であるため今回は小中高校生は受講対象としません。 社会人と大学生を対象としようと思います。大流星雨がくれば感激 はひとしおでしょうが、重点はちゃんと観測する(観望でない)こ とにおきたいと思います。(といっても、たとえば10分ごとの流 星の数を数えるといった簡単なことです。それでも全国同時観測の データに組み入れてもらい全国のデータと比較できますからとても 面白いはずです。)

募集要項を決め、公募をし、実施をしたいと考えています。

要項はこんな感じになると思います。

「小さな天文学者:体験学習会」の御案内
 (No.1 しし座流星群の全国同時観測)
時:1998年11月17日よるから翌日明け方まで
ところ:共同の杜
資格:深夜から明け方までの観測ができる方 (仕事などの都合を調整したり、実際に上記の時間の 観測のできるように準備ください)
費用:共同の杜使用料+夕食+朝食+保険 4500円?(要調査) 準備:十分な防寒服を準備ください。
ほかに若干の準備がいりますが、詳しくは、観測の要項を御覧く ださい。
証:データを無事取った方には本会発行の「小さな天文学者の証」 を差し上げます。

3. 次の実践「ガリレオが見た宇宙」[2]

しし座流星群の全国同時観測を教材として評価した後、とりあえず つきに考えいるのは、ガリレオの時代に身をおいてガリレオの体験 をするというアイデアです。このとき宇宙が占いの対象から科学の 対象へと昇格し、宇宙の観察が科学の発展に寄与するようになりま した。

これらは考えられる研究のごく一部でしょう。仲間が集まればつぎ つぎにいいアイデアが浮かんでくるでしょう。それが楽しみです。

4. まずは発会

以上の見通しで、まずは「山形、小さな天文学者の会(仮称)」 を発会し、活動をスタートさせたいと思います。会のメンバーは 観測会講習会を企画し、教材の研究をします。発会の発起人にな ってくださる皆様はぜひ柴田までお知らせください(文末の切取 線以下に御記入の上柴田までお送りください;fax,email,お手紙 いずれでも結構です、とりあえず10月いっぱい呼びかけようと 思います。)。
(発起人になることと今回のしし座流星群の観測に参加すること は別のことです。今回の観測に参加しなくとも末永くこの会の主 旨に賛同し活動して下さる方を探しています。)

               1998年10月9日
連絡先
柴田晋平          
山形市小白川町1-4-12
山形大学理学部     
tel 023-628-4552
fax 023-638-4567
参考文献

[1]鈴木文二, 1998, 「しし座流星群全国高校生同時観測会」計画 中間報告 page 2.
[2] 若松謙一、渡辺潤一 著 岩波ジュニア新書 282 「みんなで見 ようガリレオの宇宙」
追伸:研究室の4年生の皆様へ
山大宇宙物理研究室のみんなでしし座流星群を合宿して見に行こう と言った約束はごめんなさい、これで反故になってしまいました。 小さな天文学者体験学習と言う構想はもうだいぶ前から暖めていた アイデアで、この機会に一気に実行しようという気になりました。 どうぞお許しください。かわりに、この活動に理解くださり参加し てくださるようお願い致します。

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「(山形)小さな天文学者の会(仮称)」の発起人

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