Timing Analysis

時間解析に必要な時刻系についての基礎知識

Clock

山形大学・理学部物理学科・宇宙物理グループ (柴田 晋平: 問い合わせ先 shibata@sci.kj.yamagata-u.ac.jp)

RXTE 時刻解析ガイド

Pulsar Timing data の CGRO fromat の説明


Atomic Time 原子時刻: TAI
International Atomic Time (TAI)は SI 単位の sec を用いて実験室で keep されている時刻である。
Universal Timte 標準時: UTC
UTC は TAI と同じ SI sec を用いて刻むけれど、日常の用途に供するた め keep されている時刻である: つまり、平均太陽の運行にあわせるよ うに(お昼にちゃんと平均太陽が南中するように)あわせる。(各地方時は UTC に整数時間を加えたり引いたりしてつくる。) 平均太陽日は 86,400 SI sec より少し長いし、地球の自転も変動するの で、時々、うるう秒(leap second)をいれて太陽の運行と UTCを調整する。 うるう秒の挿入は普通6月か12月の末に +1 secされる。 うるう秒を入れる度に、TAI と UTC は1秒づつづれてゆく。 天体の位置と時刻からその天体を正確に望遠鏡にとらえたいなら、地球の 自転に完全に添った UT1 が必要である。 UT1-UTC は1日あたり 1-2msec ずれてゆく。定義からして、UT1 は観測によってのみ決めることができる 量である。
カレンダー MJD
ある時刻の原点(epoch)を指定するには、グレゴリオ歴の日にちとその日の 中の時刻があればよい。1999年5月6日 00:00:00 UTC というように。しかし、 日数は連続的に数えるほうが便利なのでその目的のために Modified Julian Day (MJD) が用いられる。MJD 49443.0 は 1994年4月1日 0時0分0秒と定め られている。
MJD の小数部分
MJD の小数点以下はその日の時分を指定するために利用されるがうるう秒の 存在のために、その定義に不定性が残る。 例 以下のように閏秒が入ったとする 1990/12/31 23:59:59 1990/12/31 23:59:60 MJD 48256.0? 1991/ 1/ 1 00:00:00 MJD 48256.0? 上の例では12/31から日数・時間を計っているいる人にとってのMJD 48256.0 と 1/1 から計り始めた人の MJD 48256.0 は異なる。
Barycentric Dynamical Time: TDB
天体力学の運動方程式を書くとき変数として出てくる t にはTerrestrial dynamical time (TDT)を用いる。実際、惑星の運動を記述するにはこの t を用いている。従って、観測結果に対して地球の運動を補正するときには、 この t を用いる。 この目的には原子時刻が良さそうに見える。 1977年に TDT = TAI + 32.184 sec と定義された。(定数のずれは以前用いられていた ephemeris time との連続性を取るために入れられた) しかし、地上でkeepされる TAI は 地球の運動のため相対論的効果(運動と重力)で本来の t とずれる。このず れを補正したものが Barycentric Dyanmical Time (TDB) で、太陽系重心 (Solar System Barycenter) でまわりになにもないときの時刻である。 TDT と TDB の差は周期的もので、振幅は1-2msec ある。この TDT と TDB の間の補正は用いる相対論の公式の使い方で unique でなくなる。
ASCA Time : ASCAT
ASCA time は ASCAT = TAI - 27.0 sec で定義され、この27秒のずれは ASCA Time の原点 1993/1/1 に於て うるう秒のため TAI - UTC = 27sec であったことに起因する。 例 より現実的には、 ASCAT は 1993/1/1 00:00:00 UTC (MJD 48988.0)からの経過時間を SI second 単位で計ったものと考えたほうがわかりやすいだろう。 例えば、 1997/11/16 に観測したとする。 この日は MJD 50768 で、 ASCAT の原点から 1780 日目である。 この 1780日間にうるう秒が4回入っているので ASCAT=1780*24*3600=153792000 sec は 1997/11/15 23:59:56 (UTC) である(この日は MJD 50767 にあたる)、 この4秒のち ASCAT=1780*24*3600 + 4 =153792004 sec が、 1997/11/16 00:00:00 (UTC) にあたり この日は MJD 50768 = 48988+1780 である。
(TDB scale のカレンダー)
秒数よりも、日数に小数部分を加えて表すと便利なことがある。この時、 TDB をMJD風にあらわして、MJED を用いることができる。 例えば、 1997/11/16 00:00:00 (UTC) は 50768.0 MJD これより先立つこと、27 + 4 + 32.184 sec + 相対論的補正 が TDB scale での 1997/11/16 00:00:00 、つまり、50768.0 MJEDという ことになる。
TIMECONV (in ftools)
衛星上の光子の到来時刻を用いても timing 解析はできない。(衛星は 運動しているし、地球も運動しているから) そこで、時刻の補正のため のプログラム TIMECONV が準備されている。(使用法はマニュアル参照) (執筆時点で最新version は v 1.53)
TIMECONV の働きには3つある。 function 1. Geocentric 衛星上の光子の到来時刻を地球中心での到来時刻に変換する。 結果は ASCAT である。つまり、1993/1/1 00:00:00 UTC (MJD 48988.0)からの経過時間を SI second 単位で計ったも。 function 2. Barycentric 衛星上の光子の到来時刻を太陽系重心の到来に直したもの。 結果は、TDB scale の "ASCATime" である。つまり、 TDB = ASCAT + 27.0 + 32.184 sec + 相対論的補正 である。別の言い方をすると、TDB scale での 1993/1/1 00:00:00 (これを 48988.0 MJED とかく)からの経過秒数である。 function 3. Barycentric-ASCATime 衛星上の光子の到来時刻を太陽系重心での到来時刻にしたものだが、 function 2 と違って結果を ASCAで表したもの。 (詳しくは下表を参照)
付録 TIMECONV の補正手順
入力        衛星上の光子検出時刻 ASCA TIME 天体と衛星位置   地球中心到来時間 ASCA TIME -> (function-1) 27 + 32.184 加算  地球中心到来時間 ASCA time in TDT scale 相対論補正     地球中心到来時間 ASCA time in TDB scale 天体と地球位置   太陽系重心到来時刻 ASCA time in TDB scale -> (function-2) 27 + 32.184 減算  太陽系重心到来時刻 ASCA time 擬UTC scale -> (function-3)

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