銀河団の衝突




現在ひろく信じられている階層的構造形成シナリオでは、銀河団 は、他の銀河団との合体や、より小さな銀河群の吸収を繰り返して 成長してきたと考えられている。衝突中の銀河団では、X線輝度 分布が、単純な球対称ではなくて特異な構造(下部構造、またはある 方向に延びていたり)をしめす。また、銀河団ガスの温度分布が複雑 になるなどのことが予想されている。じっさい、最近のX線観測に よってそのような銀河団がまさにみつかりつつある。

ここでは、我々が行った銀河団衝突の N体+流体 の数値シミュレーション の結果を紹介する。より詳しい情報は Takizawa 1999 (ApJ vol.520 p.514), や、 Takizawa 2000 (ApJ vol.532 p.183) を参照されたい。


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質量比1:4の銀河団衝突での物理量の時間進化の様子。上から 順に(a)X線光度、(b)(X線光度で重みをかけた)平均温度、(c)衝突軸に平行な方向の 暗黒物質の速度分散の平方根、(d)暗黒物質と高温ガスの単位質量当たりの エネルギーの比。


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衝突中の銀河団を、衝突軸と垂直な方向から観測した場合のスナップショット。 等高線はX線輝度分布を表している。カラーはガスの温度分布を表しており、 青、緑、黄、赤 といくにつれて温度が高くなっている。


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衝突軸と垂直な方向からみた時の、ガスの速度分布。


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